スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第42回 こんにゃく (後編)

こんにゃくエリアに到着する前段階から詳しく書いていってみます。

肝試しが大好きだと豪語する中原くん

しかし、牛歩のようなスピードのため道中なかなか前進してくれません。

偵察をしてきた際に分かったこんにゃくエリアについて

こんにゃくがぶらさがってたからって怖いの?と私は思ってました。

しかし、中原くんにとっては今ならなんでもすごい恐怖になるんじゃないかとか

意地悪く考えた私、早速行動に出てみました。

あと、もう少しぐらいでこんにゃくエリアだな、よーし

私:「中原くん! 中原くん!!」

中原くん:「どどど、どうした」

私:「あのお寺のうわさって知ってる?」

中原くん:「ううう、噂ってなんだよ」

中原くん、すっげぇびびってておもろいなぁとか思った私は

彼の後ろを付いていきながら必死に笑うのを堪えていました。

こんな経験、みなさんないでしょうか

自分が自分で面白いと考えたことを行動する、または発言する際に

自分自身が我慢できなくなって、笑いがついつい出てしまうという経験。

私はこのとき、中原くんをどうやってびびらせるかを頭の中で考えていたのですが

面白くて面白くて笑いが出そうになっててものすごく辛かった。

咳払いとかでなんとか切り抜けるんですけどかなり辛かった。

呼吸を整えて、彼に即興で作った作り話を言うわけです。

私:「昔、まだお侍さんがいた時の話なんだけど

   この地域に住んでいたお殿様が崇りにあってすごい病気に掛かったんだって」

中原くん:「そ、それで」

いつの間にか中原くん、歩くのをやめてじっと私の話に聞き入っていました。

私:「それでね、そのお殿様の家来が町一番の医者に見せたんだけど病気が良くならなくて

   家来の人も困り果てていろいろな医者を呼んではお殿様の病気を治そうとするんだけど

   ちっとも良くならなかったらしいんだよね」

中原くん:「それで」

私:「そんなときにね、家来の夢の中におっきな化け物が出てきて
   
   若い女を生きたまま地面の中に埋め、私に喰わせれば殿様を楽にしてやろう

   ってその化け物がいってきたらしいんだよね」

中原くん:「そ・・・そうなんだ」

私:「家来はすぐに町の中で若い女を探してきて埋めて殺しちゃったらしいの

   そしたら、お殿様の病気は嘘のように治ったんだって」

中原くん:「それで」

私:「ところがね、それから町の人達が次々と夜中に地面の中に引きずり込まれる

   おかしなことが起こるようになったみたいなんだよね。

   お殿様は、生き埋めで殺された女の怨霊の仕業かもと思ったようで

   供養するためにお寺を作ったんだけど、そのお寺があのお寺なんだってさ」

中原くん:「そ、そうなんだ」

私:「それでね、女の人が生きたまま埋められた場所がこの辺らしいんだって」

中原くん:「・・・」

中原くんのためだけに即興で作った嘘の物語を声のトーンを低くして言ってやりました。

そしたら、中原くんすっげぇ周りの地面をキョロキョロ見てんの

歩く速度がさらに遅くなってしまったのですが中原くんは完全に足元しか見なくなって

このままいくと、いい感じにこんにゃくエリアに突っ込むぞ~と後ろで

小さくガッツポーズをしていました。

私:「中原くん、歩くの遅いよ?どうしたの?」

とか、また煽りを入れてみるのですが

もうガン無視もガン無視。完全にガン無視。

地面を一点凝視しながらヨタヨタと中原くんは進んでいくのでした。

ついにコンニャクが大量につるされた場所にやってきたとき

案の定、中原くんは自分の足元しか見てなかった。

たぶん、どっかのスーパーのこんにゃく全部をこのお寺が買い占めて来たなと思われるぐらい

20~30個のこんにゃくの中に、中原くんは無防備な状態で突っ込んだのでした。

そして、同時にお坊さんがこんにゃくを買ってきたと思われる

スーパー名が書かれたビニール袋を頭にかぶって

「わぁーーーーーーー」と言って草むらから出てきたのでした。

もう、彼の限界だったのでしょう。

中原くんは恐怖のあまりスパークしてしまいました。

後ろで見ていた私が唖然としてしまうほどに・・・。

彼は、次から次へとこんにゃくを引きちぎってはお坊さん目掛けて全力で投げるのでした。

これに面食らったのはお坊さん側。

今までの子供達は年相応な反応を見せて、こんにゃくエリアを通っていったと思われます。

驚いて悲鳴を上げた子もいるでしょうし、もしかしたら泣き出した子もいるかもしれません。

それがまさかの、こんにゃくエリアを大破壊してくる猛者が現れようとは・・・!!

お坊さんも完全に想定外で混乱してしまったようでした。

私達が最後のペアだったのをお坊さんは知らなかったようで、

本当はこんにゃくエリアを破壊されても後続組がいないので問題はなかったのですが

お坊さんはこんにゃくエリアを守ろうと、必死にこんにゃくを拾い集めるのです。

野球ボールを投げる少年と、ミットをどっしりと構えて待ち構える父

そんな微笑ましい雰囲気などは1ミリたりとも無く

気が狂ったかのごとく、喚き散らしながらコンニャクを手当たり次第投げつける少年と

自分の場所、自分の役割、ひいては自分という存在を守り抜こうとコンニャクを拾い集める大人

お寺にあった「地獄の絵」にも負けず劣らずな悲惨な光景が私の目の前で繰り広げられておりました。

中原くんは投げるこんにゃくがなくなったのと同時に、即ち、こんにゃくエリアの完全破壊完了と同時に

座り込んで泣き出してしまいました。

お坊さんも半泣きだった。


最終組みがなかなか来ないので心配したのでしょうか

もしくは、中原くんの泣き声が尋常じゃないほどの爆音だったからでしょうか

お坊さん達が駆け足で集まってきました。

なんとか中原くんを落ち着かせようとお坊さん達は頑張るのですが

リミッターを完全に破壊してしまった中原くん。

いっこうに泣き止みませんし、ますますヒートアップしていくのでした。

これはもうどうしようもないと、お坊さん達は困り果てて中原くんを担いでお寺に連れていきました。

おどかし役、監視役の全てのお坊さんが戻ってきたので肝試しも中止となり

まさかの第1エリア:こんにゃくエリアでリタイヤとなった私たち。

お寺のワースト記録という形で戻ってきた私と中原くんを、ゴールしていた他の子供達は軽蔑するのでした。

その後、必死にこんにゃくを拾い集めていたお坊さんが、ビニール袋に大量に詰め込んで戻ってきました。

すごく脱力していて、来年俺はこの役やりたくないわって他のお坊さん達に向かって怒ってた。

こんにゃくを見るとどうしてもあの日の中原くんを思い出してしまいます。

人伝手に聞いた話では次の年からこんにゃくエリアなるものはなくなったそうでした。


昨年、地元に帰ったときに小学校時代の仲間が集まって呑んでいたので私も参加したのですが

その席に中原くんがいました。

彼とは久しぶりに会ったので当時のことなどをいろいろしゃべったのですが

酒もだいぶ進み、上記の肝試しの話になりました。

彼は、当時はすごい怖がりだったことを素直に認め

生暖かいこんにゃくが顔中にべたぁ~っとくっついてきた時には

意識が飛んだと言ってました。

そして意識が戻ったときに手がめちゃめちゃ臭かったと言ってました。

彼は肝試し事件以来、周りに対していばるの止めて、人当たりが良くなったこともあり

人気者になって今に至るのですがきっとこんにゃくのおかげなんだと思います。

からしとの相性抜群!さらに低カロリー!

極めつけには人生を変える力を持ったこんにゃく!

あなたもどうぞお試しあれ~

---------- 完 -----------
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

謙虚な仲原くんwwww
プロフィール

シェリス

Author:シェリス
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。